レポート
タンザニアでの助産活動
新福 洋子
1
1イリノイ大学シカゴ校看護学部
pp.1054-1059
発行日 2008年11月25日
Published Date 2008/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101329
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
はじめに
イリノイ大学シカゴ校看護学部博士課程2年目のこの夏,私はタンザニアで助産活動をする機会に恵まれました。昨年の秋に選択した人類学の教授との出会いがきっかけで,教授が新しく始める研究プロジェクトに同行することになりました。教授の研究は現地の出産と母乳育児を調査するもので,助産師である私は,現地の病院で助産活動をさせてもらいながら,医療職者として教授のプロジェクトに意見を出すという役割を担いました。
私自身もこのプロジェクトで来年研究をさせていただくので,その事前調査の意味もありました。ここでは,先進国で教育を受けた助産師として,タンザニアの助産に携わった経験と研究の展望をつづりたいと思います。
タンザニアのなかでも,発展した町と田舎の村では,受けることができる医療に大きな違いがあります。私が助産活動を行なったのはハイドンという田舎の町にある病院ですが,海外の研究者やボランティアが頻繁に訪れる病院で,附属の看護学校もあり,タンザニアの田舎のなかでは最も設備,人材,物資が充実した病院といわれていました。それでも,日本とアメリカの医療に携わってきた私には,全く違う経験でした。とりわけナース不足は深刻で,日本の助産師免許を持参すると,分娩介助と診察を手伝うことになりました。
Copyright © 2008, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.