特集 検証「SARS」
医療機関の対応
相楽 裕子
1
1横浜市立市民病院感染症部
pp.849-852
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100965
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本年3月12日のWHOの異例の警鐘(global alert)によって世界中に認識されたSARSは,7月5日の台湾における集団発生終息宣言をもって一息つくことになった.しかしながら,同時に「世界のどこかで依然として症例が発生する可能性が残っているため,公衆衛生の方面からは警戒を緩めてはならない.SARSは我々に,ひとつの症例でも爆発的に集団発生を引き起こす可能性があることを教えてくれた1)」として,この冬以降も発生の可能性を指摘し注意を喚起している.8月7日現在,WHOへの報告数は8,422例,死亡例916例,致命率は11%である.幸いにして国内での発生はないが,外国人医師のSARS事例での反応からみて,国内で患者が発生した場合の国民への影響の大きさは計り知れないものがあり,防疫・医療体制整備が迫られている.
本稿では,第2種感染症指定医療機関ながら,SARS対応機関に指定された当院の対応について述べてみたい.
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