視点
ジェネラリストこそ公衆衛生のスペシャリスト
丸井 英二
1
1順天堂大学医学部公衆衛生学
pp.648-649
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100945
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最近,やはり「公衆衛生」とはいい言葉だなあと思う.「衛生」という言葉は長与専斎(1838-1902)の自伝『松香私志』によれば,彼が中国の『荘子』からとって用語として定着させたものである.後に丸山博先生(1909-1996)は,「衛生とは『生命・生活・生産を衛(まも)る』という意味である.生命:健康を衛り,生活:衣・食・住と労働を衛り,生産:資源とエネルギーを衛ることである」と喝破された.それらに「人々の」と加えれば,「人々の生命・生活・生産を衛る」,まさしく「公衆衛生学」である.
公衆衛生が「Public Health」であるならば,ある特定の領域に限定された専門的な知識と技能ではなく,広く人々の生活を環境の中でとらえて,人々の健康を維持・増進することを目指すのが主たる役割ということになるだろう.
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