特別寄稿
米国におけるバイオテロ―日本への提言
岩田 健太郎
1
1ニューヨーク市ベスイスラエルメディカルセンター感染症科
1Division of Infectious Diseases, Beth Israel Medical Center
pp.538-541
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100910
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世界でも稀な,核兵器,そして化学兵器の被害国として,バイオテロの危険は日本にとって極めて現実的な問題である.が,バイオテロは抽象的なイメージで捉えられがちになり,現実味を帯びたイメージを作りにくい.具体的な対策をとるのは簡単ではなく,いったいどこまでやればよいのか?
危機管理が世界で最も苦手な国,日本に提言する.
バイオテロとは何か
2001年,米国では郵便物による炭疽菌感染症の患者が続出した.このような生物兵器の使用を,俗にバイオテロという.テロリズムの厳密な定義については長い長い議論があるが,バイオテロについてはこのくらいで了解しておけば実務に支障はない.バイオテロに使用されやすい病原体については,米国疾病管理センター(CDC)がカテゴリー化したリストに見ることができる(表).
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