アニュアルレポート
産業衛生学の動向
西尾 久英
1
1神戸大学大学院医学系研究科環境医学分野
pp.217-220
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100830
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本稿では,まず,わが国の産業保健の実情を直接的に反映してきた日本産業衛生学会の歴史を紐解き,次に,昨年神戸市で開催された第75回日本産業衛生学会学術集会(以下,75回産衛学会と略)の内容を振り返って,わが国の産業衛生学の動向を概説したい.
日本産業衛生学会のあゆみ
1929年,日本産業衛生学会の前身である「産業衛生協議会」が設立された.設立の趣旨は「産業衛生学及びその実際的応用に関係のある諸方面に於いて活動する専門的研究者,医師,官公吏,工場管理者等が互いに相共同して,我が国の産業衛生学とその実際的応用の推進を図る」ことにあった.1932年,産業衛生協議会は「日本産業衛生協会」と改称された.日本産業衛生協会は,第二次世界大戦の最中にも,ほぼ毎年1回の総会ないしは学術報告会を開催し,珪肺などの研究や作業能力の増強に関する活動を続けた.
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