連載 統合化を模索する国際保健医療政策・7【最終回】
公共システムに市場原理を導入した保健医療セクター改革(HSR)
湯浅 資之
1
,
中原 俊隆
2
1国立国際医療センター国際医療協力局
2京都大学大学院医学研究科健康政策・国際保健学教室
pp.165-168
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100753
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「新しいぶどう酒は新しい革袋に入れよ」,これはイエス・キリストの言葉として有名であるが,社会のあり方全般に対しても適用できる名言ではなかろうか.どんな社会制度も時間とともに疲弊する.時代が変わり,新しい社会が生まれれば,古き制度を変革して新しい仕組みを創り出す必要がある.
人口構成,疾病構造あるいは経済状況における昨今の急速な変化に呼応して,保健医療システムもまた衣替えをしなければならない.時代のこうした要請に応答する戦略が保健医療セクター改革(Health Sector Reform,以下HSR)である.HSRは今日,先進国のみならず多くの途上国でも優先課題として取り上げられ,実施に移されている.
本連載の最終回となる本稿は,現代という時代の趨勢をよく反映したHSRの基本概念を解説する.そして,本連載のキーワードとしてきた「統合化」の視点からHSRの実践を概観して,まとめとしたい.
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.