連載 愛を伝える人たち・2
「歓喜の歌」を歌いたい
東野 洋子
1
1楽団あぶあぶあ&ミュージカルチームLOVE
pp.169-172
発行日 2007年2月15日
Published Date 2007/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100754
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自分のことを喜んでくれる仲間に出会って
結成して25年になる「楽団あぶあぶあ」.私の音楽仲間たちには知的能力やコミュニケーション能力に重いハンディがあります.演奏したい曲を決めると,まず何日も,ときには何か月も,その曲を聴き続けます.踊る人,ジーっと座って聴き入る人,隣の部屋に移って遠くから聴いている人もいます.ダウン症や自閉症のせいでハンディをもつプレーヤーたちは,体でメロディを受け止めていきます.
結成当初,いよいよ楽器に向かっての練習は,私がそれぞれの家を回っての個人練習から始まりました.「ドはどこ? レはどこ?…」.25年経った今も,新しい曲を始めるときは,一音一音拾っていきます.うまく拾えなくて,1フレーズ4小節に1か月,2か月とかかることもあります.障がいをもつ仲間は5人,その中でも早く上達する人もあれば,なかなか音がつかめない人もいます.早く上達するピアノのトシユキさんが,「カズオくんはどうや(上手になってきたか)?」「うん,ものすごくがんばってるよ」と私.そしてカズオさんに「トシくんが心配してくれてたよ」と彼の意を伝えると,カズオさんは「よーし!」,いよいよ張り切ってマリンバに向かいます.
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