連載 感染症実地疫学・15
アウトブレイク:原因不明(2) 大型哺乳動物の死産によって動物園職員で発生した原因不明感染症の集団発生調査
中島 一敏
1
,
藤井 逸人
2
,
多田 有希
3
,
大山 貞明
1
1国立感染症研究所感染症情報センター実地疫学専門家養成コース(FETP)
2京都市保健福祉局保健衛生推進室地域医療課
3国立感染症研究所感染症情報センター
pp.242-245
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100727
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近年,動物由来感染症への公衆衛生学的な関心が高まっている.平成11年に施行された感染症法では,その後の一部改正の際も含めて,動物由来感染症対策が強化されている.動物由来感染症は,感染リスクがよく知られているものも多いが,その一方で,感染リスクがほとんど認識されていないものも少なくない.新興感染症の多くは動物由来感染症であり,感染症危機管理の観点からも重要な分野である.
平成13年6月,川崎市のA動物園職員にて,不明熱の集団発生が起こった.患者を診察した医療機関では病原体診断がついていなかったものの,短期間のうちに発生したことから,同一の原因による動物由来感染症の可能性が考えられた.
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