連載 Health for All-尾身茂WHOをゆく・28
世界保健機関(WHO)事務局長選挙顚末記・2
尾身 茂
1
1WHO西太平洋地域事務局
pp.186-187
発行日 2007年3月15日
Published Date 2007/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100726
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前回に引き続き今回も,2006年11月に行われた世界保健機関(WHO)事務局長選挙についてお話ししたいと思います.前回は,私が事務局長選挙立候補に至った経緯から選挙前日までの様子をお伝えいたしました.今回は,3日間にわたって行われた選挙当日の様子についてお話しします.
予備選挙(2006年11月6日)
まず11人の立候補者を5人に絞る予備選挙のプロセスであるが,各執行理事は5人の候補者に投票でき,5人の候補者に絞られるまで何度も投票が繰り返される.つまり毎回最低得票数の候補者が1人ずつ候補者リストから除外されるのである.候補者の私は選挙会場に入ることは許されないので,ホテルにて携帯電話を介して通報される投票結果を待った.予備選挙における第1回の投票では,11人の候補者の中で,中国1位,2位日本,3位メキシコ,4位スペイン,5位クウェートの順であった.予備選最後の投票では,1位中国31票,2位日本30票であった.この予備選において私は,一度も1位の座を獲得できなかった.われわれにとって意外だったのは,中国に当選して欲しくない国の数が,日本に当選して欲しくない国の数より少なかったことであった.しかし,この時点では,もちろん日本代表団は勝利を確信していた.
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