連載 21世紀の主役たち・2
マチゲンガの少年(ペルー・アマゾン)
関野 吉晴
1
1武蔵野美術大学
pp.339
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100303
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マチゲンガの少年ゴロゴロは10歳前後.小さい頃は兄や父親と一緒に森に入っていって狩りのまねごとをしていた.初めて1人で森に入っていく時につきあった.刺の多い草木が多いが裸足だ.森の中は危険がいっぱい潜んでいる.油断ならないのは赤いアリだ.小柄だが集団で列をなして進む.うっかりその列に足を踏み込むと,脛から這いあがってきて,皮膚を噛む.のけぞるほど痛い.ゴロゴロは自分の足に這いあがってきたアリを払いのけ,爪先だちでガニ股になりながらチンポコを震わせながら走り抜ける.
森には茎に鋭い刺をもつ植物,葉に毒を含んだ毛を持つ植物も多い.これにやられてゴロゴロも身体じゅう常に生傷が絶えない.これらの傷や虫に刺された跡が化膿することも多い.しかし消毒薬も抗生物質もないのに,じきに治ってしまう.
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