特集 ウイルス肝炎
ウイルス肝炎対策における地域の現状と課題
佐藤 牧人
1
,
吉田 菊喜
2
,
関根 雅夫
3
1仙台市健康福祉局兼太白区保健福祉センター
2仙台市健康福祉局衛生研究所
3仙台市健康福祉局衛生研究所微生物課
pp.803-807
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100163
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行政はこれまでにもB型肝炎の母子垂直感染防止等の施策に取り組んできたが,ウイルス肝炎予防のために知識の普及啓発,生活習慣の見直し,ワクチンの予防接種,および環境衛生向上などの公衆衛生対策が重要なことは言うまでもない.しかしC型肝炎による肝がんが増加している現在,平成14年度の厚生労働省「C型肝炎等緊急総合対策」を契機として,行政の取り組みはウイルス検査体制の充実や治療ネットワークの構築などを目標とする,新たな段階に突入したと言える.本稿では,仙台市の最近の状況と課題を説明したい.
仙台市におけるウイルス肝炎の疫学的状況
1. 感染症発生動向調査
1999(平成11)年4月より施行された「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(感染症法)に基づく感染症発生動向調査において,全数把握の4類感染症として急性ウイルス性肝炎患者の診断に際して,全医師による届出が義務付けられた.人口約100万人の仙台市では,平成11年30件,12年18件,13年27件,14年30件,15年12件の届出があった.
ウイルス別では14年はA型13件,B型16件,C型1件であった.16年からはA型とE型は4類感染症,その他はウイルス性肝炎として5類に分類が見直されたが,A型1件,B型5件,C型1件,E型1件の8件であった.仙台市においてはこれまでにE型肝炎患者が2名報告され,糞便と血液からE型肝炎ウイルス遺伝子を検出している(うち1例はⅢ型であることが判明)が,いずれも海外渡航歴やブタ・シカ・イノシシ等の臓器や肉の生食は否定され,原因は不明であった.
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