特集 ウイルス肝炎
ウイルス肝炎治療の到達点
小池 和彦
1
1東京大学医学系大学院内科学専攻生体防御感染症学
pp.798-802
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100162
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肝炎ウイルスとは,ヒトに感染した時に,主に肝臓で増殖して肝臓の傷害を起こすウイルスをいう.現在までに,B,A,D,E,C型の順に5種類の肝炎ウイルスが発見され,診療の対象となっている.これらの肝炎ウイルスによって引き起こされるものがウイルス肝炎である.C型肝炎とB型肝炎で慢性化が起こるが,現在わが国においては,C型肝炎ウイルス(以下HCV)により引き起こされる慢性肝炎が最大の問題となっている.
C型慢性肝炎
HCVキャリア,すなわちHCV持続感染者は,世界中におよそ1億7千万人,日本中におよそ180万人存在すると推定されている.
HCVは,血液が直接体内に入ることによって感染する.その経路は,昔の輸血,HCVの混入した血液製剤,覚醒剤の注射,鍼治療,入れ墨,などである1).民間療法や脱毛処置などでも,観血的な行為でデバイスがディスポーザブルでない場合には,感染の可能性があると考えるべきである.
HCV感染の問題点は,非常に高い慢性化率である.通常の感染で60~70%が慢性化する.輸血による感染では,ウイルス量が多いためか,慢性化は80%に達すると言われる.
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