Japanese
English
研究と報告
転居後に発症した幻覚妄想状態の1例—文化摩擦をめぐって
A Case of Paranoid-Hallucinatory Psychosis Caused by Removal: On the culture conflict
仲谷 誠
1
Makoto Nakaya
1
1独協医科大学精神神経科
1Department of Psychiatry, Dokkyo University School of Medicine
キーワード:
Paranoid-hallucinatory psychosis
,
Culture conflict
,
Village
,
Removal
Keyword:
Paranoid-hallucinatory psychosis
,
Culture conflict
,
Village
,
Removal
pp.147-153
発行日 1990年2月15日
Published Date 1990/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405902787
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抄録 本論は,30年以上都市部で暮らした女性が,農村部に転居したことを契機として幻覚妄想状態に陥った1症例を報告し,文化摩擦をめぐる病態の特徴について若干の検討を加えた。
患者の妄想世界に出現する他者は,分裂病において出現するような,何をするかわからない無気味な超越的他者ではなく,農村社会の志向性を体現する経験的個別的他者であった。つまり,患者が精神病状態において体験した事柄は,生活様式の違いから,周囲から妬まれているのではないかという病前の葛藤がより尖鋭化したものと考えられる。
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