活動レポート
在宅言語障害者に対する相談支援―相談利用者の特性とコミュニケーション上の問題点,ニーズの検討
原 修一
1
,
加藤 ますみ
2
,
坂本 由郁
2
,
吉原 孝
2
,
大友 昭彦
3
1臨床福祉専門学校言語聴覚療法学科
2宮城県栗原保健福祉事務所
3特別養護老人ホーム山王
pp.426-431
発行日 2005年5月1日
Published Date 2005/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100095
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平成12年より介護保険による在宅高齢者に対するサービスが整備され,言語障害を持つ利用者に対しての言語聴覚士(ST)が行う地域サービスは,地域福祉センターにおける機能訓練事業,老人保健施設や特別養護老人ホーム等でのデイサービス等,徐々に増加している1,2).聴覚・言語障害を持つ障害者は,全国で約34万人と推計されている3).一方で,病院1施設あたりの言語聴覚士の数は,平成13年で0.3名と,PT,OT(それぞれ2.3名,1.2名)と比較しても明らかに少なく4),保健・福祉施設においても常勤または週2回以上の非常勤によるST勤務体制を取っている施設は28%であったといった報告5)からも,病院・施設サービスはもとより,地域のSTサービスが普及したとはまだ言い難い状況である.このことは病院外来や在宅にて言語聴覚療法のサービスを受けたくても受けられずに生活している言語障害者が多く存在することが推測され,言語障害者に対する何らかの在宅サービスの整備は急務と考えられる.
宮城県では,高齢者や障害者に必要なリハビリテーションサービスが,総合的かつ一貫性を持って提供されるための連携体制を確立することを目的に,地域リハビリテーション支援体制整備事業を実施しているが,平成5年度よりその一環である専門スタッフ派遣特別支援事業として,県施設所属また県内在住の言語聴覚士が在宅の言語障害者に対し,個別指導,集団指導,関連職種へのカンファレンス等により支援を行っている.
本稿では,言語相談事業を利用する在宅の言語障害者の特性,相談ニーズ,および言語相談事業の意義を検討・考察した.
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