資料
ワクチンに含まれるチメロサールのリスク評価と今後の対応
亀尾 聡美
1
,
閑野 将行
1
,
三島 英煥
1
,
野田 一樹
1
,
山本 康央
1
,
仲井 邦彦
1
,
佐藤 洋
1
1東北大学大学院医学系研究科環境保健医学分野
pp.161-165
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100037
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
チメロサールは,薬剤の防腐剤として,とりわけワクチンの保存剤として広く使用されてきた.チメロサールが水銀を含有していること,また新生児や幼児に義務付けられているワクチンに使用されていることから,数年前からアメリカでチメロサールの健康影響についての議論が盛んになった.本稿では,ワクチンに含まれるチメロサールのリスク評価の検証と各国・日本の最近の動向,および今後の対応について考察を試みた.
チメロサールとは?
チメロサール(thimerosal)は,水銀を含む有機化合物であり,その殺菌作用は昔から知られており,1930年代から種々の薬剤に保存剤として使われてきた.チメロサール(物質名:エチル水銀チオサリチル酸ナトリウム)の化学構造は図1に示す通りであり,重量の約半分を水銀が占めている.チメロサールは,体内でエチル水銀(ethylmercury)とthiosalicylateとに分解し,エチル水銀の部分で人体への毒性が心配されている.ワクチンには1940年頃から保存剤として使われ始め,生ワクチンでは使われないが死んだ菌などが入っている不活化ワクチンでは保存剤として主に使われるようになった.
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.