連載 「PRECEDE-PROCEEDモデル」の道しるべ・10
モデルの各診断プロセスに住民が参加したことにより顕著な結果が得られた事例
中村 譲治
1
,
設楽 玲子
1NPO法人Well-Being
pp.73-77
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401100016
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今回の事例は,モデルに当てはめて開発された乳幼児ウしょく対策用質問票(以下,FSPD3型)を利用している.PRECEDE-PROCEEDモデルが日本に紹介されたとき,一部の研究者から「このモデルには住民参加の入り込む余地が少ない」との指摘があった.この事例では開発した質問紙の調査結果を利用し,疫学診断から実施,評価のすべてのプロセスを住民と行政スタッフ,専門家(歯科医師,歯科衛生士)が共有している.この一連のプロセスを共有することで計画に推進力が生まれ,山形県でワースト1のウしょく罹患状況(dmf-t=5.6)であったものが驚異的に改善され,3年後にはベスト1(dmf-t=0.34)になるに至った.
FSPD3型の概要と計画策定から評価までの流れ
NPO法人Well-Beingでは,1993年よりモデルを応用した歯科保健活動を実践している1).FSPD3型の質問項目はモデルの各フェーズに沿って構造化されている(図1).質問票調査の結果をもとに,総合的に社会診断から疫学診断,行動・環境診断,教育・組織診断と一連の診断を行うことができる.
FSPD3型による診断から評価までの一連の流れを以下に述べる.
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