特集 胎児医療を知る 出生前診断の“その後”と助産師の役割
[コラム]いつでも話せる場所が,ここにあることを知ってほしい—管生聖子氏(胎児診断治療センター 臨床心理士/大阪大学大学院人間科学研究科 准教授)に聞く
河合 蘭
pp.25
発行日 2025年2月25日
Published Date 2025/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134781680790010025
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苦しいのは,退院したあと
胎児診断治療センター(以下,当センター)の臨床心理士外来は週2回開設しており,主に妊娠を継続しない選択をした方にお会いしています。気持ちを整理する,あるいはそこまでいかなくていいので,ともかく思っていることを話していただいたり,沈黙を共にしたりします。なかなか言葉にならない思いを,少しずつ話してくださるのを,ゆっくりと聞いています。
患者さんには,退院後を含めていつでも話したい時に来ていただいています。通常,身体が回復すれば医療施設との関係は終わりですが,患者さんたちにとって心理的に孤立しやすいのは,妊娠を中断する手術を受けて退院してから一カ月健診までの間,そして一カ月健診が終わって病院との関係が切れたあとです。その時に相談先を探しても,ほとんどの場合はすぐには見つかりません。中には,「私は自分で中絶を選んだのだから」と,助けを求める資格はないと考える方もいます。
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