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はじめに
わが国における医師の長時間労働は,かねてより大きな社会的課題とされてきた.特に大学病院や地域中核病院においては,救急対応や教育・研修など多岐にわたる業務が求められ,医師の負担が過大になりやすい構造にある.こうした背景のもと,2021年には医師の働き方改革関連法である「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」が公布され1),2024年4月からは医師の時間外労働時間に上限が設けられるなど,医療現場における働き方改革が本格的に始動している.
このような制度改正は,単に医師の労働時間を削減するだけではなく,医療全体の質を損なうことなく効率化を図ることが求められる.そのためには,従来医師が担っていた業務を適切に他職種へ移管する「タスクシフト」,および職種間で業務を柔軟に分担する「タスクシェア」が重要な鍵となる.すでに看護師による静脈注射や特定行為,薬剤師による服薬指導の高度化など,多職種の専門性を生かした取り組みが進んでいるが,手術領域におけるタスクシフト/シェアはいまだ発展途上にある.
当院では,その一環として腹腔鏡下胆囊摘出術(laparoscopic cholecystectomy : LC)において,「臨床工学技士の業務範囲追加に伴う厚生労働大臣指定による研修」を修了した臨床工学技士(clinical engineer : CE)によるスコープオペレーター業務を導入した.しかしながら,大学病院を含む全国の多くの医療機関において,CEによるスコープオペレーター業務はいまだ広く浸透していないのが現状である2).その背景には,腹腔鏡手術の質の維持に対する不安や,大学病院や地域中核病院が担う重要な使命の1つである研修医・専攻医への教育機会の減少といった懸念があると考えられる.
本稿では,当大学病院におけるCEによるスコープオペレーター業務導入の実際を紹介し,その導入による効果や課題,また医師の働き方改革に対する貢献と教育体制への影響について,多角的に検討・報告する.

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