特集 リカバリー時代の精神症状論 どうやって「その人」を見ながら?
—「連合弛緩(まとまりのなさ)」を再考する—〈専門性〉からみたドラマティックな症状学
松本 卓也
1
1京都大学大学院人間・環境学研究科
pp.6-12
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134327610280010006
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専門用語は捨て去ったほうがよい?
精神科領域で働く人々には、専門性が必要である。それは当たり前のことだとされている。たしかに、専門性がなければ、患者さんの状態を的確に把握することもできなければ、治療したり看護したり支援したりすることもできないだろう。ましてや、病院やクリニックは、医師や看護師、心理士や精神保健福祉士……といったさまざまな職種の人々が働く場であるから、みなが共通して使うことのできる専門用語がどうしても必要になる。
けれども、病棟や外来で働きながら、専門用語を—たとえば、精神症状の名前を—使いこなせるようになり、少しずつ専門性を身につけていくと、ふと次のような疑問が浮かんでくることがある。
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