特集 関係性を築いた驚きの方法—あの会話・行動・判断がきっかけになっていた!?
—【Case 4】—路上生活者との関係構築の鍵は待つことだった—何がきっかけかは分からないが、少しずつ話ができるようになった
油井 和徳
1
1特定非営利活動法人山友会
pp.24-28
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134170450300010024
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東京都台東区北部と荒川区南部に跨る「山谷地域」。この山谷地域には、「ドヤ」と呼ばれる安価で簡易的な宿(簡易宿泊所)が多く集まっていたことなどから、高度経済成長期には土木・建設業に従事する日雇い労働者が多く集まり、同地域は「労働者の町」として知られている。また、バブル経済崩壊以降はそうした労働者の多くが慢性的に失業し、路上生活者が急増した。これに伴って、山谷地域の簡易宿泊所に集まった高齢や病気になった路上生活者、日雇い労働者たちは生活保護を受給するようになり、「福祉の町」とも呼ばれるようになった。2021(令和3)年の調査では、山谷地域の簡易宿泊所は128軒あり、2946人が宿泊している。そして、宿泊者のうち90.4%が生活保護を受給しており、68.9%が高齢者という状況であることから*1、現在では身寄りのない生活保護を受給した高齢者が多く暮らしている。
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