徹底分析シリーズ 歯科麻酔科医のこれから—医科麻酔科研修でのギャップを埋める
歯科麻酔学分野での研究紹介—未来の意義ある研究のために
星島 宏
1
Hiroshi HOSHIJIMA
1
1東北大学大学院歯学研究科 病態マネジメント歯学講座 歯科口腔麻酔学分野
pp.1006-1011
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320101006
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
東北大学は2024年11月に日本初の「国際卓越研究大学」に認定された。当然,研究に関しても切磋琢磨し競争が激しく,膨大な業績を発信している。歯科界で近年話題となった,ラジカル殺菌治療器を開発した菅野 太郎 先生は,東北大学歯学部の教授である。その甲斐あってか,筆者が,研究に関する執筆を依頼された。
近年の歯科麻酔学分野から発表された論文テーマを調べてみると,おおよその現状を顧みることができる。2022〜2024年の3年間に発表された英語の原著論文のうち,104件が歯科麻酔学分野から発表されている。そのうち71件が臨床系,33件が基礎系である。研究内容は,臨床系では気道管理に関する論文が最も多く15件,次に歯科鎮静に関する論文が多く14件,次いで痛みに関する論文が8件であり,これらの研究範囲で臨床系の半数以上を占めている(図1)。一方,33件の基礎系では,顎顔面痛に関する論文が17件とほとんどを占めた(図2)。これらの結果を鑑みると,臨床系の研究が基礎研究よりも盛んに行われており,さらに歯科麻酔学分野に特化した研究にスポットが当てられていることがよくわかる。しかし,麻酔の王道である麻酔薬(筋弛緩薬や鎮静薬)の研究,また,呼吸や循環に関する基礎研究は,ほとんど行われていないことに気づく。
歯科麻酔学分野においても先進的な研究を実施している研究者は多数存在する。本稿ではこれらの注目すべき研究者の個々の業績を,基礎研究および臨床研究の順に紹介する。

Copyright © 2025, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.