症例ライブラリー 外科医からのリクエストにTEEで応える
大動脈弁手術にて「脱血管の位置は大丈夫?」と聞かれたら
釜田 峰都
1
Mineto KAMATA
1
1埼玉医科大学国際医療センター 麻酔科
キーワード:
脱血不良
,
下大静脈
,
IVC
,
経肝下大静脈像
,
中心静脈圧
,
CVP
,
大動脈弁形成術
,
AVP
Keyword:
脱血不良
,
下大静脈
,
IVC
,
経肝下大静脈像
,
中心静脈圧
,
CVP
,
大動脈弁形成術
,
AVP
pp.442-446
発行日 2025年5月1日
Published Date 2025/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320050442
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■症例
58歳の男性。身長174cm,体重60kg。既往歴:高血圧。多発性肝囊胞,腎囊胞が指摘されている。経胸壁心エコー検査(TTE)で大動脈弁は二尖弁,通過血流最大流速4.7m/sec,最大および平均圧較差はそれぞれ88mmHg,59mmHg,弁口面積0.72cm2(連続の式)で重度の大動脈弁狭窄症(AS)であった。左室駆出率(LVEF)39%で左室全体に壁運動低下を認めた。冠動脈の有意狭窄は認めなかった。
ASに対し胸骨正中切開での大動脈弁置換術(AVR)が予定され,人工心肺(CPB)は上行大動脈送血,右房からの1本脱血の計画となった。
麻酔導入は問題なく完了。右内頸静脈より中心静脈カテーテルを刺入部から13cm挿入し,固定した。胸骨正中切開し,上行大動脈に送血管を挿入した。術前の経食道心エコー検査(TEE)で卵円孔開存(PFO)が確認できたため,脱血管は上下大静脈(SVC,IVC)への2本脱血に変更となった。IVCへ脱血管(ストレートタイプ32Fr)挿入後CPB開始。「flowどう?(外科医)」「total flowの半分ですねー(CPB側)」とのやり取りがあり,外科医が「脱血管の位置はどうですか?」と麻酔科側に聞いてきた。
さて,あなたならどうする?

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