症例ライブラリー 下肢の末梢神経ブロックがうまくいかない
膝上大腿切断術の麻酔がうまくいかない
加賀屋 菜々
1
,
笹川 智貴
1
Nana KAGAYA
1
,
Tomoki SASAKAWA
1
1東京女子医科大学 麻酔科学分野
キーワード:
四肢切断術
,
局所麻酔薬極量
,
末梢神経ブロック管理
Keyword:
四肢切断術
,
局所麻酔薬極量
,
末梢神経ブロック管理
pp.346-350
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320040346
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■症例
73歳の男性。身長160cm,体重45kg。閉塞性動脈硬化症(ASO)による左下腿の壊疽のため,膝下での下肢切断術が数回施行されていた。今回,壊疽が進行し細菌感染も認めたため,膝上での下肢切断術が予定された。
既往歴は糖尿病,末期腎不全,心房細動,慢性心不全。腎不全に対して週3回の血液透析が行われている。術前の心機能検査では,左室拡張末期径(LVDd)59mm,左室収縮末期径(LVDs)55mm,左室駆出率(LVEF)31%,左室収縮能はびまん性に高度に低下し,推定右室収縮期圧は65mmHgと重症肺高血圧症と考えられた。術前訪問では起坐呼吸を認めた。ASOに対してアスピリンとワルファリンの内服を行っている。
全身麻酔はリスクが高いと判断し,下肢の末梢神経ブロックとデクスメデトミジンの鎮静を計画した。

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