Japanese
English
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エフェドリン代用藥としてアドレナリン及びボスミンの作用を遅延せしむる方法
Method Prolonging the Action of Both Adrenalin and Bosmin as Substitute of Ephedrin
水谷 洋二
1
Yoji MIZUTANI
1
1名古屋赤十字病院外科
1Surgery the Nagoya Sekijuji Hospital
pp.362-364
発行日 1950年7月20日
Published Date 1950/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200673
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緒言
戰時中我々は諸藥品の欠亡を代用藥で補う外なかつた. 近時吾々は手術に際して,その無痛法として全手術の8割を腰髄麻痺法により施行して居るが,同法施行に際して最も危險なる点は手術中急激に血圧低下を来すことである. 田代が嘗て,日本外科学会に於てペルカミン高比重腰髄麻痺法により半身麻痺の高さを種々に変化せしめて,その血圧の変化及び年齢による同法の血圧の変化を観察したことがある. 同報告によれば,弱年者に於ては血圧の変化は甚だ少く,麻痺の高さの如何に拘わらず僅少である. これに比して,年齢30歳以上の大人に於ては男女を問わず血圧の変動が甚だしく,年齢を加うるにつれて,強度となり,50歳に於て最も著明なる下降を来し,その血圧下降は麻痺の高さに正比例している. 50歳男子の1例では,術前230m. m. Hgの血圧が腰髄麻痺腰椎第5に於て80〜90m. m. Hgに迄下降している. かゝる著明なる血圧下降は他の如何なる方法に於ても吾々が観察し得ないことで,腰髄麻痺法に於ける不慮の危險事である. この危險を未然に防止するために,吾々は腰椎麻痺施行前手術患者には必ず4%エフエドリン0.5-1.0c. c. を皮下注射し,更に予め25%ロヂノンにビタカンファーを混じたものを用意して,甚だしき血圧下降の患者に注射し危險を防止することにしているが,この処置により危險なしに腰髄麻痺による手術を遂行することが出来る.
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