快人快説
麻酔科の組織行動論 前編—人が集まる組織と崩壊する組織は何が違う?
宮津 光範
1
Mitsunori MIYAZU
1
1あいち小児保健医療総合センター 麻酔科
pp.197-203
発行日 2025年2月1日
Published Date 2025/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320020197
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私が医局長になった日
私は大学病院に勤務する中堅麻酔科医師である。大学院で学位も無事取れたし,大学に残っている意味は薄れた。そろそろ田舎の病院に就職し,自分のペースで働かせてもらおうか……と考えていたら,医局長の順番が回ってきてしまった。断れない。うちの医局は崩壊こそしていないものの最近は退局者も多く,決して順風満帆とはいえない状態だ。そして,教授からは「数年後の病院建て替えと手術室増室を見据えて医局員を倍増させてほしい」との指示が…。そんな簡単に言わないでほしい。医局員を増やすといっても,関連病院から人を引き抜くことはできない。どこも人手が足りないのだ。専攻医を集めるのも大変だし,育成には時間がかかる。そうだ,まずは医局を辞めていく若手医師を減らそう。とりあえずググってみたところ,離職予防に関しては,経営学分野の経営組織学や組織行動学という領域で研究が進んでいるらしかった。そして,端的にいうと,“組織コミットメント”というものを高めれば離職者が減るらしい。では,その組織コミットメントとはいったい何者なのか?
*この設定はフィクションです。

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