書評
—日高 庸晴 著—LGBTQ+の健康レポート—誰にとっても心地よい医療を実装するために
片岡 仁美
1
1京都大学医学教育・国際化推進センター
pp.1064
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.002576990620071064
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歴史に残る1冊である,ということをまず述べたい.歴史が動く時がある.その渦中に居る時,たった数年間で世の中が変わった,とわれわれは実感する.しかし,その動きの速さに流されながら「世の中は変わった」と,わかったように納得してはいないだろうか.
本書はまさにLGBTQ+について世の中が大きく変わっていくさなかに出版されたが,著者による科学的な検証の端緒は27年前にさかのぼる.精緻で科学的な視点で丹念にデータを集積し,経時的にそれを分析した結果の重さは,潮目が大きく変わる時期においてその価値は一層大きい.

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