書評
—《看護管理まなびラボBOOKS》組織の力学—パワーを掌る—成功し続けるための組織行動論
田中 いずみ
1
1手稲渓仁会病院 看護部
pp.44
発行日 2025年1月10日
Published Date 2025/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091713550350010044
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リーダーの自己変容を促す,パワーの使い方の指南書
「パワー」という言葉に何を想起されるだろうか。ポジションパワー,情報のパワー,医療では専門性のパワーも強くみられるだろう。さまざまなパワーがあるが,パワーを行使すると言うと,例えば上司が自分のポジションが持つ強制力によって部下を働かせ,自分の思うままに動かすような,どちらかというとネガティブイメージを持たれる方もおられるのではないだろうか。かく言う私も,ポジションパワーをかざさないよう気を付けているつもりである。
しかしながら著者の髙岡明日香先生によると,「パワーを掌る」とは,上の立場から不健全なパワーを振りかざして相手を威圧するというネガティブな意味合いではなく,健全なパワーを適切に行使するもので,組織の力学を適切にマネジメントしながら個人の強みを発揮し影響力を行使するものであると述べている。本書はリーダーとしてのハウツー本ではない。組織に渦巻くパワーの正体を掴み,影響力を発揮し続けるために,多くの文献からパワーやリーダーシップに関する理論を紹介した上で,パワーの行使,委譲の具体的な方法について記述されている。
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