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Key Questions
Q1:パンデミックにより注目された,韓国での遠隔リハビリテーションの実際とは?
Q2:パンデミックに関連して浮上した問題には,どのようなものがあるか?
Q3:ポストパンデミック時代に解決すべき課題とは?
はじめに
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は,中国・武漢で初めて発生が確認されて以来,世界的なパンデミックへと拡大した.韓国でも2020年初頭から感染者が急増し,同年2月には集団感染を契機とした大規模な感染拡大が生じ,社会的な懸念が大きく高まった1).韓国の人口は約5,200万人であり,とりわけ都市部における人口密度の高さが,飛沫・接触感染による拡散リスクを高める要因と考えられている.初期段階では,特定の宗教団体や医療機関内でクラスターが発生し,接触者追跡やPCR検査の拡充が喫緊の課題となった2,3).
韓国政府は,疾病管理庁(Korea Disease Control and Prevention Agency:KDCA)を中心に,感染経路の把握と積極的な検査・隔離・治療という3本柱を基盤とする「K-防疫」戦略を推進し,スマートフォンの位置情報やQRコードを活用した追跡システムの構築等,迅速かつ大規模な対策を行った3,4).しかし,徹底した検査と追跡体制,マスク着用義務化,社会的距離確保の段階的導入等により,一時的には感染抑制の効果を上げたものの,変異株の拡散による再流行が繰り返され,社会や医療現場の混乱が長期化した5,6).
このようなCOVID-19の流行は医療・リハビリテーション領域にも大きな影響を及ぼし,対面を中心として行われていた従来の治療システムに大きな制約をもたらした7,8).韓国では,初期には感染拡大防止のため,各医療機関が細心の注意を払い,リハビリテーション領域では人員の再配置や関連医療施設およびセラピスト人数の縮小等が行われた結果,患者と作業療法士の接触機会が減少する状況が生じた8,9).作業療法は患者の身体機能のみならず,認知的・社会的側面の評価・介入を含むため,対面治療が中断されることは作業療法の核心的役割にも少なからぬ影響を及ぼしたと考えられる.こうした作業療法サービスの制限を克服するため,オンラインや遠隔医療(telehealth)の導入が急速に検討され10),従来の常識を覆すスピードで技術整備が進められた点も注目される.
本稿は,こうした韓国でのCOVID-19流行状況を踏まえ,作業療法分野がどのような変化や課題に直面したのかを概観し,ポストパンデミックおよび将来の感染症等の災害状況に対応するために,作業療法が果たすべき方向性を考察することを目的とする.

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