Close-up 在宅酸素療法で拓くQOL
在宅酸素療法利用者の療養生活実態と地域支援資源の活用状況
阿部 夏音
1
Kanon ABE
1
1国立研究開発法人国立長寿医療研究センター
キーワード:
在宅酸素療法
,
呼吸リハビリテーション
,
地域差
,
療養生活
,
災害対策
Keyword:
在宅酸素療法
,
呼吸リハビリテーション
,
地域差
,
療養生活
,
災害対策
pp.320-324
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520600030320
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在宅酸素療法利用者の日常生活における困難
在宅酸素療法(home oxygen therapy:HOT)を利用する呼吸器疾患患者の日常生活活動制限には,疾患に由来する症状とHOT機器操作の双方が影響している.慢性呼吸器疾患では,息切れ,咳,痰,喘鳴などが一般的にみられるが,特に息切れは有症率が高い.「呼吸不全に関する在宅ケア白書2024」1)の患者アンケート調査によれば,HOTまたは人工呼吸療法,もしくはその両方を使用している患者の86%(328/381人)が修正Medical Research Council(MRC)分類2〈息切れがあるので,同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い,あるいは平坦な道を自分のペースで歩いているとき,息切れのために立ち止まることがある〉以上の息切れを有している.また,同アンケート回答者のうち21%は「外出しない」と回答し,その理由として,「息切れが苦痛」であることが最も多く,息切れがHOT利用者の生活を大きく制限していることがうかがえる.
息切れは歩行や階段昇降以外にもさまざまな場面で生じ得る.着脱衣や整容,洗髪といった上肢を使用する動作では呼吸補助筋の過使用や肺活量低下を招くため,運動負荷としては低強度であっても息切れを誘発する.また,食事や洗顔,排泄などの呼吸を止める動作や呼吸リズムが崩れる動作も息切れの誘因となる.こうした背景から,日常生活の基本的な動作でさえ困難を伴うケースは少なくない.

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