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私たち理学療法士は,血流の滞りが脳・筋・肺・心臓,さらには静脈還流に至るまで多くの身体機能に悪影響を及ぼすことを理解しており,運動療法や物理療法などの手技を通じて,積極的に血流の改善を図っています.こうした理由から,臨床では血圧や脈拍といった血流関連指標を常にモニタリングし,安全な負荷設定や合併症予防のための重要な判断材料としています.本号の特集は「血流と理学療法」です.運動時の血流再分配,微小循環,ストレッチやマッサージによる循環調整,脳卒中急性期における脳血流管理,血流制限トレーニング,血流低下性疼痛への対応,集中治療室での循環管理,静脈還流からのリスクマネジメントといった多角的な視点からご執筆いただきました.読者の皆さまの血流に関する知識の更新に役立つ内容となっています.
近年の理学療法は,専門領域の分化が進むなかで,知識の拡大と深化が加速しています.その一方で,現場では高齢化の進行に伴い,複数の疾患を抱える患者への対応が日常となり,複雑で総合的な判断を求められる機会が増えています.こうした変化に応じるためにも,総合的な知見に触れる習慣が求められます.それを身につけるには対面での学会や研修会に参加して学ぶことはもちろんですが,自身の専門性や興味にかかわらず全領域にまたがる本誌のような雑誌を定期的に開くことをお勧めします.特集,Close-upといった幅広い学術的な知識のアップデートはもとより,「ひろば」や「ターニングポイント」など,各筆者のナラティブに触れることで,自身の専門職としてのあり方の振り返りや新たな理学療法士像と出会うきっかけになることでしょう.本誌を通して皆さまの知識や視野,さらには出会いのアップデートに貢献できるよう,魅力あるコンテンツづくりをめざしてまいります.「こんな企画があったら読みたい」といったお声も,ぜひお寄せください.

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