Japanese
English
症例報告
肋鎖間隙を原因とする腕神経叢障害に対し運動療法が著効した1例—Wright test肢位における鎖骨下筋の超音波観察に着目して
A case in which exercise therapy was effective for brachial plexus disorder caused by costoclavicular space: focusing on ultrasound observation of the subclavius muscle in the Wright test limb position
吉井 太希
1
,
赤羽根 良和
1
Taiki YOSHII
1
,
Yoshikazu AKABANE
1
1さとう整形外科リハビリテーション科
キーワード:
胸郭出口症候群
,
胸鎖関節
,
肩関節周囲炎
,
頸椎症
Keyword:
胸郭出口症候群
,
胸鎖関節
,
肩関節周囲炎
,
頸椎症
pp.623-629
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590050623
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要旨 肩関節周囲炎と頸椎症と診断され,腕神経叢に由来した上肢痛が疑われた1例を経験した.運動療法の経過は順調であったが,上肢の外転挙上運動に伴う上肢痛が残存したため再評価を実施した.外転挙上時には胸鎖関節の挙上・後方回旋制限を認めた.Wright testは陽性であり,この肢位の超音波観察では鎖骨下筋により後神経束が圧迫される様子を認めた.運動療法では鎖骨下筋の柔軟性と腕神経の滑走性を改善した後,肋鎖靱帯と前胸鎖靱帯のストレッチングを実施した.その結果,Wright testと外転挙上時の上肢痛は消失した.超音波観察では鎖骨下筋により後神経束が圧迫される様子は消失した.本症例は肩関節周囲炎と頸椎症が表立ち,肋鎖間隙部の腕神経叢障害が潜伏していたことが超音波観察で明らかとなった.本症例の上肢痛は,Wright test肢位における鎖骨下筋に由来した腕神経叢障害の一因となることが示唆された.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.