連載 臨床実習サブノート 効果的かつ安全な起居動作へのアプローチ・第2回
脳卒中 過緊張
北山 哲也
1
Tetsuya KITAYAMA
1
1森山脳神経センター病院
pp.617-622
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091505520590050617
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背臥位における活動と過緊張の背景
脳卒中片麻痺者では,体幹機能低下のため背臥位における自律的な体位変換(寝返りなど)の回数が減少する傾向にあります.体幹機能が低下すると,脊柱の回旋運動による肩甲帯と骨盤帯の間の回旋運動(体軸内回旋)が乏しくなります.その代償戦略として,非麻痺側の上下肢で床面を押しつけることや,ベッド柵をつかみ引き込むことで体位変換のための動作を補っていることも少なくありません.こうした意識的かつ努力的な過活動が背臥位においても続くことで,身体の二分化(麻痺側不使用の学習と非麻痺側の過剰使用)が生じます.特に麻痺側に着目すると,① 主動作筋の弱化,② 拮抗筋に過剰な同時収縮を伴うことによる運動範囲の制限,③ 異常な筋活動を伴う緩慢かつ協調性の低下した動作,が特徴となります.
本稿では,こうした点を踏まえて脳卒中片麻痺者の背臥位や座位における問題に配慮し,効果的かつ安全に起居動作を行うための方法を紹介します.
*本論文中,動画マークのある箇所につきましては,関連する動画を見ることができます(公開期間:2028年5月31日).

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