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はじめに
脊髄髄内出血(intramedullary spinal cord hemorrhage, hematomyelia)は,脊髄実質内に出血が生じる病態であり,急性脊髄症の原因としてきわめてまれである.脊柱管内に起こる出血は,出血の主座により硬膜外,硬膜下,くも膜下および髄内出血に分類されるが,髄内出血は最も頻度が低い15,23).Kreppelら14)は,1826〜1996年までに報告された脊柱管内血腫613例を対象として文献調査およびメタ解析を行った.その結果,硬膜外血腫が461例(75.2%)と最も多く,くも膜下血腫が96例(15.7%),硬膜下血腫が25例(4.1%)であったのに対し,髄内血腫はわずか5例(0.82%)であった.なお,これら以外には複数の解剖学的区画に及ぶ血腫などが含まれているため,各区分の症例数の合計は全613例とは一致しない.著者らは,髄内出血をきたし得る原因疾患が多岐にわたるにもかかわらず,報告例が予想以上に少ないことを指摘している.
脊柱管内出血の中で最も多い自発性脊髄硬膜外血腫でさえ,その年間発生率は人口10万人あたり約0.1人と推定されている8).髄内出血はこれらよりもさらにまれであり,現在までに一般人口を対象とした信頼性の高い年間発生率は確立されていない.
外傷性脊髄損傷では挫傷に伴う髄内出血がみられるが,本稿では腫瘍性病変,外傷および脊髄海綿状血管奇形に起因するものを除き,主として非外傷性髄内出血の病態,診断および治療について概説する.希少疾患であるため,治療方針を直接支持する無作為化比較試験や診療ガイドラインはなく,報告の多くは総説,小規模症例集積および症例報告である.この限界を踏まえ,迅速な診断,二次性脊髄障害の軽減,出血原因の同定および再出血予防を一連の診療目標とする必要がある.

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