Japanese
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特集 脊椎脊髄外科領域における希少疾患と外科治療
脊髄ヘルニア
Spinal Cord Herniation
金 恭平
1
Kyohei KIN
1
1岡山大学大学院脳神経外科
1Department of Neurological Surgery, Okayama University Graduate School of Medicine
キーワード:
脊髄ヘルニア
,
spinal cord herniation
,
治療
,
treatment
,
病態
,
pathology
Keyword:
脊髄ヘルニア
,
spinal cord herniation
,
治療
,
treatment
,
病態
,
pathology
pp.607-611
発行日 2025年10月25日
Published Date 2025/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120380100607
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はじめに
脊髄ヘルニアは,何らかの要因によって硬膜に損傷または欠損が生じ,その部位に脊髄が嵌頓することで神経症状を呈する疾患である.嵌頓の程度によって多様な脊髄症状が出現し,比較的まれな病態とされる.医原性脊髄ヘルニアは1973年2),特発性は1974年27)にそれぞれ初めて報告された.画像診断技術の進歩と理解の深化に伴い,報告例は増加傾向にある.
Kumar14)は,脊柱管内硬膜の損傷または欠損に起因する疾患群を「duropathies」と総称した.これには,脳表ヘモジデリン沈着症,脳脊髄液減少症,脊髄ヘルニアなどが含まれる.しかし,概念提唱から10年以上を経ても,この用語を用いた研究・報告は少数に留まる.脊髄ヘルニアも,ほかのduropathiesとは独立して検討されることがほとんどである.
近年ではメタ解析による症例集積が進み,疫学や病態生理の理解が深まりつつある.本誌でも中島ら18)が自験例・文献レビューをもとに脊髄ヘルニアについて総括している.本稿では,近年の主要文献をもとに本疾患の最新知見を概説する.

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