Japanese
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特集 髄外腫瘍の手術を極める
腹側硬膜から発生する脊髄髄膜腫の手術—整形外科の立場から
Surgery of Spinal Meningiomas Arising from the Ventral Dura Mater
小澤 浩司
1
,
菅野 晴夫
2
Hiroshi OZAWA
1
,
Haruo KANNO
2
1独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)仙台病院整形外科
2東北医科薬科大学医学部整形外科学
1Department of Orthopaedic Surgery, Japan Community Health care Organization Sendai Hospital
キーワード:
脊髄髄膜腫
,
spinal meningioma
,
手術
,
surgery
,
硬膜切除
,
excision of dura mater
Keyword:
脊髄髄膜腫
,
spinal meningioma
,
手術
,
surgery
,
硬膜切除
,
excision of dura mater
pp.573-578
発行日 2025年9月25日
Published Date 2025/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.091444120380090573
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はじめに
本邦では,原発性脊髄腫瘍の手術患者は10万人あたり約1.6人で,神経鞘腫が最も多く,次いで髄膜腫が多い4).髄膜腫は,くも膜絨毛が発生母地であるが肉眼的には硬膜から発生しているように見え,硬膜に強く癒着している.しばしば腫瘍内に石灰化や発生硬膜の骨化がみられる.腫瘍細胞が硬膜内部にも存在することから,髄膜腫の手術では腫瘍の摘出だけでなく何らかの硬膜処置が必要となる.硬膜の処置には硬膜の焼灼,硬膜内層の切除,硬膜全層切除などがある.Nakamuraら3)は,硬膜焼灼,硬膜内層切除のSimpson grade 2の硬膜処置の場合は腫瘍の再発が32%でみられ,Simpson grade 1の硬膜全層切除では再発がみられなかったと報告した.Nakamuraらの検討で,腫瘍の再発は術後7年ほどから始まり25年経過後も続いている.近年の患者の寿命の延長を考えると,たとえ80歳の患者においても腫瘍の再発の可能性について考慮すべきである.再発髄膜腫では,くも膜が破綻しており,腫瘍が脊髄軟膜に癒着して浸潤していることがあり手術が困難である(図 1).初回手術での根治切除が重要であり,われわれは原則として硬膜全層切除を行っている.腹側の硬膜から発生した髄膜腫の摘出にあたっては背側より難易度が高く,特に注意を要する.本稿では,われわれの行っている腹側硬膜から発生する髄膜腫の摘出法について述べる.

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