特集 心身相関—精神と身体の関係はどこまで解明されたか
特集にあたって
中尾 智博
1
1九州大学大学院医学研究院精神病態医学
pp.123
発行日 2026年2月15日
Published Date 2026/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810680020123
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「我思う,ゆえに我あり」の言葉で有名な17世紀のフランス哲学者ルネ・デカルトは,〈心(精神)〉と〈身体(物質)〉は独立して存在するという,いわゆる心身二元論を提唱し,精神医学の歴史にも大きな影響を与えた。しかし今日における医学はこの心身二元論に否定的である。「唯脳論」の養老孟司,「ソマティック・マーカー仮説」のアントニオ・ダマシオ,あるいは神経精神分析を展開するマーク・ソームズらは,心と身体は切り離しては考えられないとする心身一元論の立場をとる。養老は「唯脳論」の中で,「脳と身体とは,明瞭には分離できない。なぜなら,身体のほぼいたるところに末梢神経が張りめぐらされており,しかも脳と末梢神経とは,一連の連続する構造だからである。」と述べ,「中枢は末梢の奴隷」であると指摘した。心と体は切り離せないものであり,精神の状態と身体の状態は相互に密接な影響を与え合っていることについて,近年の精神医学における研究も着実にその証左を示している。

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