Japanese
English
特集 高次脳機能の知識を精神疾患診療に役立てる
内受容感覚と精神疾患
Interoception and Mental Disorders
大平 英樹
1
Hideki Ohira
1
1名古屋大学大学院情報学研究科
1Graduate School of Informatics Nagoya University, Aichi, Japan
キーワード:
内受容感覚
,
interoception
,
予測的処理
,
predictive processing
,
精度
,
precision
,
アロスタシス
,
allostasis
,
島皮質
,
insula cortex
Keyword:
内受容感覚
,
interoception
,
予測的処理
,
predictive processing
,
精度
,
precision
,
アロスタシス
,
allostasis
,
島皮質
,
insula cortex
pp.1288-1294
発行日 2025年9月15日
Published Date 2025/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670091288
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抄録
内受容感覚(interoception)とは,内臓,体液,筋などの身体内部の知覚を意味する。近年,内受容感覚は単なる受動的な過程ではなく,脳が内部モデルに基づいて予測を出力し,その予測と身体信号との予測誤差を最小化して恒常性を維持するように身体状態を能動的に制御する過程として理解されるようになった。不安症,抑うつ症群,身体症状症群などの精神疾患は,それらの過程の不全に関連が深いと考えられている。本稿では,内受容感覚の予測的処理について概説したうえで,その不全がさまざまな精神疾患をどのように引き起こすのかについて説明し,こうした理論的枠組みが今後の臨床的介入の方法にどのような示唆を与えるかを考えたい。

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