増大号特集 睡眠の正しい理解を促す70のトリビア
Ⅴ章 治療薬の話題
Q58 国内外ではどのような睡眠薬がよく使われているのでしょうか?
三島 和夫
1
1秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座
キーワード:
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
,
benzodiazepine hypnotics
,
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
,
non-benzodiazepine hypnotics
,
メラトニン受容体作動薬
,
melatonin receptor agonist
,
オレキシン受容体拮抗薬
,
orexin receptor antagonist
Keyword:
ベンゾジアゼピン系睡眠薬
,
benzodiazepine hypnotics
,
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬
,
non-benzodiazepine hypnotics
,
メラトニン受容体作動薬
,
melatonin receptor agonist
,
オレキシン受容体拮抗薬
,
orexin receptor antagonist
pp.772-776
発行日 2025年5月15日
Published Date 2025/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670050772
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A 日本国内では各種ガイドラインで推奨されているオレキシン受容体拮抗薬や非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用割合が増加している一方,ベンゾジアゼピン系睡眠薬の割合は減少傾向にあるものの依然として約半数近くを占めています。世界的にもベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用量は減少傾向にある一方,非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の使用量は増加傾向にあります。ただし使用量には地域や国によって顕著な違いがあり,欧州と北米で高く,アフリカとアジアでは非常に低いです。アジアでは日本や台湾などの高所得国でのベンゾジアゼピン系および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の消費量が多いです。米国,カナダ,アイルランド,日本などでは非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の消費量が増加していますが,その背景要因として,人口の高齢化と慢性的な合併症(精神障害,神経障害,冠動脈疾患,がんなど)の増加があります。不眠症治療には睡眠薬のほかに,催眠鎮静作用のある抗うつ薬,抗精神病薬が使用されていることにも留意する必要があります。

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