書評
発達障害Q & A—臨床の疑問に応える104問—金生 由紀子 編,今村 明,辻井 農亜 編集協力
五十嵐 良雄
1
1日本うつ病リワーク協会
pp.511
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670040511a
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とても読みやすい本になっているとの第一印象を持った。本書で特筆すべきは,Q&A形式で書かれており,しかも「Q」の質問文がわかりやすく実際的な言葉で表現されており,誰にもなじみやすい点である。そのため本書を手にした当事者とその家族などの一般の方々にとっても以前から聞いてみたかった疑問点があちこちに散らばっているように感じると思う。そのことについてまえがきでは編集をされた金生由紀子先生が本書の来歴として『精神医学』という雑誌で一般臨床の医師から質問を募りそれを「Q」とし,編集委員会で「A」を執筆する専門家に依頼するといったこれまでにない手法で作成されたと説明されている。このようなユニークかつ卓越した手順は結果的に相応の時間と労力を要したものと想像するが,その成果が本書にギュッと詰まっていることがよくわかる。読んでいて抵抗感なく「Q」から「A」の最後まで頭に入ってくるのがとても心地よい。まさに発達障害にかかわる人々にとっての福音書といえるだろう。また,巻末の索引は臨床家にとって重宝する部分だ。
私はこれまで気分障害の患者の復職支援(リワーク)に関与してきたが,うつ病や双極症を併存した神経発達症をはじめ,職場でのコミュニケーション障害を契機とする不適応が休職の原因とされる社員がとても多いことを実感している。

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