フルボキサミンマレイン酸塩の併用が著効した小児難治性過敏性腸症候群の1例

A Case of Pediatric Refractory Irritable Bowel Syndrome that was Effectively Treated with Fluvoxamine Maleate

抄録

　今回，難治性の下痢型過敏性腸症候群にフルボキサミンマレイン酸塩の投与が著効した症例を経験したので報告する。

　症例は12歳男児。2年ほど前より下痢，腹痛を来すようになり，小児科で過敏性腸症候群の診断のもと投薬治療を受けていたが，症状の悪化がみられ登校しないで自宅に引きこもることが増え受診となった。従来の投薬治療を継続したが，症状の改善が芳しくないため心理面接を行い，フルボキサミンマレイン酸塩の併用を行ったところ，次第に症状の軽快がみられ精神状態の安定も得られ投与3カ月後頃より特に問題もなく復学できた。本薬による精神症状への効果以外に，ラモセトロン塩酸塩との併用効果が大きいと考えられた。