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特集 精神疾患診療へのデジタルツールの活用
サイコオンコロジー領域におけるスマートフォン精神療法
Smartphone Psychotherapy in Psycho-oncology
明智 龍男
1
Tatsuo Akechi
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学
1Department of Psychiatry and Cognitive-Behavioral Medicine, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Aichi, Japan
キーワード:
サイコオンコロジー
,
psycho-oncology
,
スマートフォン精神療法
,
smartphone psychotherapy
,
分散型臨床試験
,
decentralized clinical trial
Keyword:
サイコオンコロジー
,
psycho-oncology
,
スマートフォン精神療法
,
smartphone psychotherapy
,
分散型臨床試験
,
decentralized clinical trial
pp.12-19
発行日 2025年1月15日
Published Date 2025/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670010012
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抄録
わが国では毎年100万人以上ががんに罹患し,その20〜30%に治療が望まれる精神症状が存在するが,がん医療に従事する精神科医や心理職は少なく,適切なケアを患者に届けるにはほど遠いのが現状である。これらの背景から,われわれの研究グループは,スマートフォン(スマホ)を用いた精神療法アプリを開発し,その有用性を検証してきた。初期の研究では,スマホを用いた問題解決療法および行動活性化療法が乳がんサバイバーの再発恐怖軽減に有用であるか否かを多施設ランダム化比較試験で検証し,介入群で介入直後の再発恐怖が有意に軽減することが示された。また,その効果は6カ月後まで持続する可能性が示唆された。以降もスマホ精神療法アプリの開発を継続し,サイコオンコロジー領域での応用の可能性を模索している。社会実装をはじめ,現時点では多くの課題が存在するが,多くのがん患者のニーズを満たすためにもスマホによる精神療法の開発研究は意義のある試みであると考えている。
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