バイオバンク活動の実際とJIS Q 20387の適用・5
臨床検査余剰試料のバンキングと検体品質
竹内 朋代
1
1筑波大学附属病院つくばヒト組織バイオバンクセンター
pp.295-299
発行日 2026年3月15日
Published Date 2026/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200700030295
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
臨床検査で生じる余剰試料は,言うまでもなく検査に使用した“残り”であり,本来の目的である検査を終えているものである.通常は再検査が必要になる場合に備え,一定期間保存されているが,感染管理上の理由からも,一定期間後に廃棄される.しかし,最近ではゲノム解析などの臨床応用につながる研究の貴重な資源として余剰試料が注目されている.その背景として,疾患メカニズムの解明や診断・治療法の開発研究には,ヒト由来の試料を使用することで新しい知見が得られること,また,世界的にも動物実験の削減が推進されていることが挙げられる.2010年代頃より,大学病院などの医療機関を中心に余剰試料を研究用に資源化して保管するバイオバンクの設置が国内外で増加している.余剰試料は日常の診療過程で収集が可能であり,電子カルテに登録された臨床情報ともリンクできるという利点がある.しかしながら,余剰試料は必ずしも研究利用を想定していない検査の残余であり,保存条件や取り扱いについては標準化されていないことが課題である.
本稿では,臨床的な目的を終えていれば不要なものとなる一方で,研究や教育にとっては重要な資源であるという二面性を持つ余剰試料について,バンキングにおける品質管理の知見を整理する.

Copyright © 2026, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

