増大号 超実践! 病理で迫るがんゲノム医療—検査から治療まで
2章 がんゲノム検査に関わるテクニックと工程
検体の保管と管理のポイント
NGS解析などにおける検体品質管理
柳田 絵美衣
1
1群馬パース大学医療技術学部検査技術学科
キーワード:
バイオリポジトリ
,
血中循環腫瘍細胞
,
CTC
,
血中循環遊離DNA
,
ccfDNA
,
検体取り扱い
,
品質管理
Keyword:
バイオリポジトリ
,
血中循環腫瘍細胞
,
CTC
,
血中循環遊離DNA
,
ccfDNA
,
検体取り扱い
,
品質管理
pp.1120-1122
発行日 2025年10月15日
Published Date 2025/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690101120
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はじめに
特に次世代シーケンシング(next-generation sequencing:NGS)を用いた体細胞遺伝子のがんゲノム検査は,がんの診断,予後予測,治療法の選択において非常に有用な手段である.この検査では,がん細胞に特有の遺伝子変異を高精度で検出することが可能であるが,その結果の正確性は検体の取り扱いに大きく依存する.採取,運搬,処理,保存の各段階で慎重に管理を行うことが,信頼性の高い検査結果を得るために非常に重要である.
試料の品質は周囲の環境条件により影響を受ける.過剰な紫外線は核酸(DNA,RNA)の構造変化を生じさせる可能性がある.また,湿気は腐食(カビなどの微生物の増殖)の可能性を高め,大気はタンパク質などを酸化させる可能性がある.保存容器内の空気と試料の割合によっては試料のpHを変化させる可能性がある.試料の取り扱い方,保管環境は試料の品質維持に重要である.特に温度条件は試料の品質に大きな影響を与える.

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