増大号 サッと読めてパッとわかる! 感染症診断メモ。
6章 その他の感染症
6.消化管スピロヘータ症疑いと言われたとき,何を考えてどのように対応すればよいでしょうか?
田中 洋輔
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院臨床検査部
キーワード:
Brachyspira pilosicoli
,
Brachyspira aalborgi
,
スピロヘータ
,
慢性下痢症
,
腸管スピロヘータ症
,
HIS
Keyword:
Brachyspira pilosicoli
,
Brachyspira aalborgi
,
スピロヘータ
,
慢性下痢症
,
腸管スピロヘータ症
,
HIS
pp.491-495
発行日 2025年4月15日
Published Date 2025/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048514200690040491
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●疫学とリスク因子を考える:わが国の腸管スピロヘータ症(HIS)ではBrachyspira pilosicoliは比較的まれで,B. aalborgiが多い.男性に多い傾向があり,性感染症の可能性もある.B. pilosicoliは特に原虫感染に注意する.患者の衛生環境や生活習慣の確認とともに免疫抑制状態であるかの評価も必要である.
●臨床症状と併存疾患からBrachyspira属菌単独が原因か判断する:慢性下痢,血便,腹痛,体重減少などがみられる.他の消化管疾患が併存していることも多く,総合的な判断が必要である.B. aalborgiでは無症状のことも珍しくない.
●有症者に対する治療:下痢や血便を呈し,Brachyspira属菌以外に原因が考えられない症例に対しては,メトロニダゾール(MNZ)での治療が推奨される.B. pilosicoliであれば,より強く推奨したい.

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