Suprahepatic gallbladderに発症した胆石性胆囊炎に対する3点ポート腹腔鏡下胆囊摘出術の1例—解剖学的破格と高度炎症所見に対する安全な操作と新たなランドマークの提案

A case of three-port laparoscopic cholecystectomy for severe cholecystitis developed in suprahepatic gallbladder : Proposal of a new anatomic concept of “the unknown triangle” for safe laparoscopic cholecystectomy

要旨

70歳台，男性．肝形成不全およびsuprahepatic gallbladderを伴う胆石性胆囊炎と総胆管結石を認め，胆囊炎に対する保存的加療と総胆管結石に対する内視鏡的治療を施行した．総胆管結石の内視鏡的治療から10週後に3点ポート腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した．手術所見でランドマークのRouvière溝はなく，Calot三角は高度の炎症性変化を呈し，肥厚した胆囊壁を認めた．解剖学的破格であるsuprahepatic gallbladderで腹腔鏡下胆囊摘出術を施行する際，胆囊管誤認の回避に役立つ新たなランドマーク“隠れた”三角形（“隠れ三角”）を提唱する．また，手術難度の高い高度炎症例において胆囊穿孔・漏出胆汁・肝損傷による肝実質出血を回避するための安全な操作と工夫について述べる．