増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅴ術後合併症に対する特殊な治療手技
集中治療で行う特殊な治療—血液浄化療法やECMOなど
大村 和也
1
Kazuya OMURA
1
1国際医療福祉大学成田病院麻酔・集中治療科
pp.338-342
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110338
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血液浄化療法
血液浄化療法とは,体内から有毒物質や特殊な抗体などを除去する治療法であり,主に,透析・ろ過・吸着・分離などの手法を用いて行われる(表1).周術期管理において集中治療室で最も用いられる血液浄化療法は,腎代替療法(renal replacement therapy:RRT)であろう.稀に肝切除術後肝不全に対して血漿交換療法を行うことがあるが,本稿ではRRTについて解説する.
RRTは,人工呼吸器や体外循環装置などと同等に集中治療室で提供される重要な治療法の1つといえる.RRTが用いられることが多い病態としては,術後の急性腎障害(acute kidney injury:AKI)が挙げられ,大手術を受ける患者によくみられる合併症である.腹部手術では最大40%に合併するといわれ,死亡や慢性腎障害の発症を含む短期的・長期的な予後不良因子である.

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