増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
その他
乳癌の手術(乳房全切除術を中心に)
津川 浩一郎
1
,
喜多島 美奈
1
,
古川 尚美
2
Koichiro TSUGAWA
1
1聖マリアンナ医科大学 乳腺・内分泌外科学
2聖マリアンナ医科大学病院 看護部
pp.196-199
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110196
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
本項では乳癌に対する根治手術として乳房全切除術を中心に,当施設で行っている周術期管理について述べる.乳房全切除術に一次乳房再建術を伴う場合は形成外科との合同管理になる.基本は同様と考えるが,詳細は形成外科関連の類書を参考にされたい.
スウェーデンの大規模データベース研究1)によれば,重大な手術合併症(30日以内に再入院または再手術を必要とするもの)は,乳房全切除術後のほうが乳房部分切除術(乳房温存手術)後よりも多く発生(7.3% 対 4.3%)しており,さらに重大な術後合併症があると,5年全生存率(ハザード比[HR]1.32, 95% CI. 1.15-1.51)および乳癌特異的生存率(HR 1.31, 95% CI. 1.04-1.65)が悪化していたと報告されている.この相関関係は,再建手術を行わずに乳房全切除術を受けた患者で最も顕著とされる.

Copyright © 2025, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.

