増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅲ術式別の術前・術中・術後管理
食道
食道アカラシア
竹村 雅至
1
,
新井 勇輝
1
,
山口 大輝
1
,
宮本 裕成
1
,
稲津 大輝
1
,
瀧井 麻美子
1
,
山田 正法
1
,
大嶋 勉
1
,
眞弓 勝志
1
Masashi TAKEMURA
1
1社会医療法人景岳会南大阪病院外科
pp.106-108
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110106
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食道アカラシアに対する治療法は内服加療,内視鏡的バルーン拡張術,経口内視鏡的筋層切開術(per oral endoscopic myotomy:POEM),および開腹または腹腔鏡下筋層切開術がある1).最近ではPOEMが主流であり,外科的な治療を適応する症例は減少している.実際,厚生労働省が公表している第9回NDBオープンデータを見ると2022年度に行われたPOEM法は760件であるのに比べ,腹腔鏡下筋層切開術は66件に過ぎない2).食道アカラシアに対する外科的治療は,現在では腹腔鏡下に行われることが多く,開腹術を適応することは非常に稀である.
どの症例に対して外科的治療を適応するかについては厳密な基準はなく,内科的治療が無効,全身麻酔が可能,重篤な臓器障害がない,アカラシアによる症状がある症例に外科的治療が考慮される.さらに,POEMが可能な施設かどうかで手術の適応は変化する.一方で,外科的治療によるさまざまな合併症の発症や,術後の症状の改善に乏しいこともあるとともに,術後に逆流性食道炎が生じる可能性があることを説明のうえで手術を適応する.

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