増刊号 周術期管理マニュアル—保存版
Ⅱ併存症をもつ患者の評価とその術前・術後管理
その他
脳梗塞
池田 篤平
1
,
小野 賢二郎
1
Tokuhei IKEDA
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系脳神経内科学
pp.75-77
発行日 2025年10月22日
Published Date 2025/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698570800110075
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術前評価
脳梗塞の患者に対する手術療法においては,ほとんどの患者が抗血小板剤/抗凝固剤を内服しており,その継続の可否が問題となる.『内服継続による大量出血のリスク』と『内服中止による脳梗塞再発のリスク』の相反する要素の検討が必要となる.
内服治療を受けている患者は継続の必要性があって再発予防薬の処方を受けており,手術によって多かれ少なかれ再発のリスクが高まる.まずは行う手技の出血リスクから,内服継続のままで治療が可能かを検討する.各分野にて,手技/内服薬によっては再発予防薬の中止なしに安全に手技を行えることが報告され,ガイドラインなどの改訂が行われている.歯科三学会合同の「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン 2020年版」や日本消化器内視鏡学会の「抗血栓薬服用に対する消化器内視鏡診療ガイドライン」,日本循環器病学会の「2022年改訂版 非心臓手術における合併心疾患の評価と管理に関するガイドライン」,「2020年度版 不整脈薬物治療ガイドライン」などが挙げられる.出血時の対処が容易な処置・小手術(抜糸・白内障手術)などの施行時は,抗血小板薬の内服継続が推奨される.また,出血危険度の低い内視鏡検査では,抗血小板薬はいずれも休薬不要で,脳梗塞再発リスクが高危険度のアスピリン内服患者においては,出血高危険度である胃瘻造設でも休薬しなくてもよいとされる.

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