左腋窩副乳癌の1例

A case of accessory breast cancer in the left axilla

要旨

副乳癌は乳癌の0.3〜0.6%を占めるとされる稀な疾患である．症例は50歳女性で，左腋窩の副乳部に腫瘤を自覚し，当院を受診した．身体所見では，左腋窩に皮膚のひきつれを伴う1 cm大の腫瘤を認めた．超音波検査では，左C'区域の皮下に長径15 mmの境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた．造影CTでは，左腋窩に長径15 mmの腫瘤を認め，腋窩リンパ節腫脹や遠隔転移を示唆する所見を認めなかった．針生検による病理検査では，異型上皮が管状に増殖し，その周囲には正常な乳腺組織を認めた．副乳由来のinvasive ductal carcinomaと診断し，腫瘍切除＋腋窩郭清を行った．術後経過は良好で術後6日目に自宅退院した．術後補助療法は行わず，術後3か月時点で無再発生存中である．